同じような香りでも、合成された香りとオーガニックの香りでは、成分が違うため効果も違ってきます。
香りは脳に直接働きかけるため、想像以上に効果が高く、化学成分による健康被害も報告されているので注意が必要です。
1-1.柔軟剤の香りの健康被害が急増している理由
ここ数年、柔軟剤の香りによる頭痛や吐き気、呼吸障害などの健康被害が急増しています。
これを受けて、国民生活センターは、柔軟剤を使った洗濯物を室内に干した場合の空気中の揮発性有機化合物(VOC)についての分析を行いました。
その結果、香りの強い柔軟剤を使用した場合、微香タイプの柔軟剤を使用した場合に比べると、室内の総揮発性有機化合物の量が約3倍~7倍に上昇したのです。
柔軟剤の香りによる健康被害の原因は、これらの合成された香料に含まれる揮発性の有機化合物を吸い込んだことが原因として考えられています。
香りの成分もお酒と同じように個人差があるため、化学物質に敏感な人にとっては、深刻な問題になっています。
1-2.香りが脳に与える影響
香り成分は、吸い込む以外にも嗅覚を通じて脳に直接影響を及ぼします。
においを嗅ぐことで認知症が改善されるなどの研究からも、においには「単なるリラックス効果」だけではなく、「脳を刺激する効果」があることがわかってきました。
香りは、「嗅上皮」と呼ばれる嗅覚センサーを通って、脳に直接信号として届けられ、交感神経や副交感神経に働きかけます。
香りによってリラックス効果を得ることができるのは、この脳の働きのおかげなのです。
ところが、よい香りだと感じる香りでも、合成された香りに臭覚センサーが刺激されると、ホルモンバランスが乱れたり、偏頭痛の原因になったりすることがあることがわかっています。
また、これらの合成香料は、皮膚からも吸収されて血液に入るとDNAを傷つけることもあるとされています。
せっかく香りを取り入れるなら、ホルモンバランスを整えたり、免疫力を高めたりする効果が高い天然の香料を使うのがおすすめです。
1-3.無香性でも合成香料が含まれていることも!
「無香料」は、香料が配合されていないことですが、「無香性」は香料が含まれているので注意が必要です。
化粧品には、原料に使われている油などの原料臭を消すために、香料が使われることがあります。
製品の匂いを「無香」にするために香料が配合されているものは、「無香」や「無香性」と書かれています。
「無香料」と「無香性」は、似ているけれどまったく違うものなので、間違わないようにしっかりチェックしてくださいね。
2.アロマオイルも天然香料とは限らない!
先程の無香料と無香性と同様に、アロマオイルとアロマテラピーも名前が似ているために、間違われることが多いのですが、アロマテラピーにアロマオイルを使うことはできません。
アロマテラピーとは、フランスの化学者であるガットフォセが実験中にヤケドをした時にラベンダーの精油の効果を自らが実感し、「aroma」と「therapy」を合わせて名付けられた療法です。
このアロマテラピーに使うことができるのは、アロマオイルではなくエッセンシャルオイルです
2-1.アロマオイルとエッセンシャルオイルの違い
アロマオイルとエッセンシャルオイルの最大の違いは、天然か合成かの違いです。
エッセンシャルオイルは、バラやラベンダーなどの植物から抽出した天然の精油なので、合成香料ではありません。
アロマオイルは、エッセンシャルオイルやポプリオイル、合成香料などを含む広い意味の香料を指します。
アロマオイルもエッセンシャルオイルも容器が似ていて間違いやすいで、ラベルの内容をしっかりチェックしておくことが大切です。
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2-2.エッセンシャルオイルの選び方
まず、アロマオイルではなく、「エッセンシャルオイル」や「精油」と書かれているものを選びます。
そのうえで、次の項目がきちんと記載されているものを選びます。
- 品名(植物の名前:オレンジ・スイート)
- 学名(国、地域による呼び名の違いを統一するため:キトルス・シネンシス)
- 抽出部位(抽出される部位によって同じ花でも香りが違う)
- 抽出方法(水蒸気蒸留法、圧搾法など)
- 原産国(産地による違いがあるため)
その他にも、輸入元などもわかればさらに安心です。
3.脳に直接作用する香りの効果で美肌に!
香りは脳に直接作用して、ホルモンバランスを整えたり、免疫力を向上させたりする効果があります。
肌悩みに合わせた香りを使うことが、美肌作りの秘訣です。
3-1.肌悩み別!おすすめの精油
精油は、香りが違うだけでなく、それぞれに効果が違っています。
好きな香りを楽しむだけでなく、精油を効果的に使うと、天然成分だけでも美肌作りができるのでおすすめです。
【乾燥肌におすすめの精油】
乾燥肌が続くと敏感肌へと傾きがちになってしまいます。
乾燥が続くと感じた時は、できるだけ刺激が少ない精油を使って、保湿をするのがおすすめです。
ローズ…保湿効果、ホルモンバランスを整える
カモミール…抗炎症作用があるので乾燥肌のかゆみに有効
サンダルウッド…刺激が少なく、肌を柔らかくする作用がある
【ニキビ肌におすすめの精油】
特に思春期ニキビには、アクネ菌を殺菌する効果が高い精油がおすすめです。
大人ニキビには、乾燥肌対策をしながら抗菌ができるカモミールがおすすめです。
ティートゥリー…抗菌・殺菌力が高くニキビに効果的
ラベンダー…殺菌効果と皮膚を再生させる力がある
カモミール…抗炎症作用と抗菌作用でニキビの炎症を抑える
【シミ・美白におすすめの精油】
シミ・美白対策には、レモンやグレープフルーツ、ローズヒップなどビタミンCが豊富な精油がおすすめです。
ただし、光毒性のあるオイルは日に当たると逆効果になるので、夜に使うのがおすすめです。
ゼラニウム…血行促進作用があり、シミ以外にもシワなどの予防にも効果的
レモン…グレープフルーツとレモンは、漂白効果のある精油なのですが、光毒性があるため夜の使用がおすすめ
ネロリ…肌の生まれ変わりを助ける細胞の成長促進作用がある
【シワにおすすめの精油】
年齢肌には、収れん作用や細胞の成長促進作用がある精油がおすすめです。
フランキンセンス…収れん作用や細胞の成長促進作用がある
キャロットシード…細胞の成長促進作用
ネロリ…肌の生まれ変わりを助ける細胞の成長促進作用がある
【日焼け後におすすめの精油】
日焼け後には、炎症を抑える効果が高い精油がおすすめです。
特にラベンダーは、アロマテラピーの第一人者がヤケドの治療に使ったことでも有名な精油です。
カモミール…抗炎症作用で炎症を抑える
ラベンダー…アロマテラピーの第一人者もラベンダーによってヤケドの治療をしたことで有名
4.精油の取り扱いで注意したいこと
精油の取り扱いでは、上述したとおり、
- 肌に直接つけないこと
- 合成のアロマオイルと間違えないこと
などの基本的なこと以外にも、注意しておきたいことがあります。
4-1.光毒性のある精油
肌悩み別におすすめなエッセンシャルオイルの項でも少し触れましたが、エッセンシャルオイルの中でも柑橘系のオイルには光毒性があるので注意が必要です。
光毒性とは、肌につけた状態で紫外線を浴びると日焼けやシミの原因になってしまうことです。
ひどい場合は、ヤケドにつながることがあるため注意が必要です。
光毒性があるとされている精油は、夜の使用がおすすめです。
4-2.ケモタイプ
ケモタイプとは、精油の原料となる植物が同じ種類の植物でも、気候や土壌の環境などによって、成分が違うため、効果や効能が違う精油のことです。
ケモタイプの例で有名なものには、次のようなものがあります。
・・・ケモタイプの例・・・
ローズマリ・カンファー(フランス産)…
カンファーという成分を多く含んでいる。
筋肉痛や関節痛、やる気を向上する効果がある一方、カンファーの毒性が強いため、乳幼児、妊婦さんは注意が必要。
ローズマリー・ベルベノン(コルシカ産)…
肝機能の向上、エイジングケアに効果的。濃度によっては肌に刺激が強いことがある。
ローズマリー・シネオール(モロッコ産)…
不安を取り除く、疲労回復、ニキビケアなどに効果がある。
ローズマリーの中では、使いやすく安心して使える。濃度が高すぎるものは、肌に刺激がある。
購入するときには、ケモタイプの表示も確認しておくのがおすすめです。
4-3.キャリーオーバー成分
キャリーオーバー成分とは、原料を栽培する時の農薬、原料を抽出する際に使った溶剤や添加物などの成分です。
これらの溶剤や添加物には、アルコールやエタノール、防腐剤などが含まれていることが多いのですが、表示の必要がないという理由で表示されてません。
天然成分を使っているつもりでも、原料自体に農薬がたっぷり含まれていると、アレルギーの原因になってしまう可能性もあります。
自作コスメを作る場合などには、これらも含めてしっかりと原料を厳選する必要があります。
5.香りの効果を取り入れて美肌作りができるオーガニックコスメ
安全性が高い原料を個人で手に入れようとすると、原料自体が高額になってしまいます。
これを解決してくれるのがオーガニックコスメなのです。
オーガニックコスメメーカーは、原料を大量に仕入れるため、比較的安く安全性の高い原料を手に入れることができます。
このため信頼できるメーカーのオーガニックコスメを利用した方が、自作するよりも安くて安全性が高いコスメが簡単に手に入るのです。
ぜひ、外側からのケアだけでなく内側からもケアできるオーガニックコスメならではの天然の香りを取り入れて、ケミカルコスメには真似できない本物の美肌を手に入れてくださいね。